ハリネズミの疥癬症

動物病院で比較的よくみかける疥癬症(かいせんしょう)とは、ヒゼンダニという小型のダニが皮膚に寄生して起こる皮膚の病気です。

ハリネズミではフケ、かさぶた、痒み、針が抜けるなどの症状が出ることがあります。

ヒゼンダニは感染している動物との接触で感染します。動物の体から離れると長くは生きられないので、その他の感染経路は多くはありません。

色々な動物に、ある程度決まった種類のヒゼンダニがいます。

人を含めて、たまに他の動物のヒゼンダニに咬まれることがありますが、多くの場合で症状は一時的です。

今回の患者さんは、ペットショップで買われてから、ずっとフケが多い、という理由で来院されました。

皮膚の表面から検査の材料を採ってみると、ヒゼンダニが大量に見つかりました。

ハリネズミから見つかったヒゼンダニ

治療は皮膚に垂らす駆虫薬を数週間ごとに数回使用する、という方法で行いました。

治療後はフケが減り、体を掻く様子も少なくなり、検査ではダニが見つからなくなりました。

中にはわずかに残ったダニが再び増えて症状を出してしまったと思われる子もいるので、症状がまた出ないか、ご自宅でよく観察してもらうようにしています。

他にもハリネズミでは皮膚糸状菌(カビ)の感染も多いと言われており、同時に菌体がみられないかなど、注意深く検査をする必要があります。

また、疥癬症は痒みの強い皮膚の病気であり、同じ種類の動物には比較的蔓延しやすいことから、最後までしっかりと治療してあげることが大切です。

フケが増えた、痒がる様子が見られる場合など気になることがございましたらお気軽のご相談ください。